転生したのに0レベル
〜チートがもらえなかったので、のんびり暮らします〜


50 世界の秘密?を知ったのかもしれない



「魔法に使われている言語はのぉ、実はこの世界の外からもたらされた物と言われておるのじゃよ」

 お爺さんが言うにはこの世界は創造の神ビシュナ様が作ったんだけど、その時にこの世界とは別の世界の神様から助言を受けたんだって。

 ここからはその伝承に書かれているお話なんだけど、その神様が言うには魔法を使える世界を作るのなら魔法と言うものを知っているのに使う事ができない世界の者たちの考えを参考にすべきだって言われたらしいんだ。
 ビシュナ様がその神様に何でなの? って聞いたら、自分たちの考えだけで世界を作ると必要最低限の魔法しかその世界には生まれないからだって言う返事が帰って来たんだってさ。

 言われてみればその通りで、例えば火が必要なら着火する魔法があればいいし、水が欲しければ水を生み出す魔法があればいい。
 それに魔法で攻撃したければ物を飛ばす魔法一種類があれば問題ないんだから、いくつもの魔法を作り出す必要なんてないんだよね。
 でもこんな考えじゃあ新しい魔法を思いつくはずがないし、自由な発想なんてもっと出てくるはずがない。
 その点魔法と言うものを知っているのに使えない世界の人たちは魔法と言うものに憧れを抱いているから、想像の世界でいろんな魔法を思いつくらしいんだ。
 だからそれらを参考にすれば、色々な魔法が生まれる世界が出来上がるって言われたんだって。

 それでその言葉に感動したビシュナ様は実際に別の世界を見て周って居るうちに、自分の理想の世界に近い物語を作っている世界を見つけたんで、その物語そっくりに作ったのがこの世界なんだってさ。

「ビシュナ様がその世界に似せてお作りになられたおかげで、我らは新たに魔法を生み出すことができるのじゃよ。もし御自分で魔法を作られていたら神の力に及ばぬものが魔法を作り出すことなど叶わなかったであろうし、何よりビシュナ様が光臨なされた時にその世界の言葉を我らの先祖に伝え、新たな魔法の製作を許可してくださったからこそ今があるのじゃからな」

 なるほど、この世界の魔法がなんで僕の前世の言葉なのかって不思議に思ってたけど、そういう理由だったのか。
 てか、それ以前に創造の女神様であるビシュナ様が参考にした物語って間違いなく原作のドラゴン&マジックだよね? それなら僕が知っている魔法とこの世界の魔法が同じだって言うのも解るし、ゲームでは使えなかった設定魔法が使えるようになっているのにも納得がいくもん。
 でもだからと言って、魔族までそのままこの世界に設定しなくてもいいのにって思うけど。

 ううん、神様の考えた事だから何か理由があるのかも? 僕としてはどんな理由があってもそんなのはいない方がいいと思うけど、神様は違う考えかもしれないからそんな風に考えちゃいけないね!

 だからビシュナ様、ちゃんと反省したから天罰は与えないで下さい、お願いします。



 さて、お爺さんのお話はこれで終わりじゃなかったんだ。

「ただのぉ、ビシュナ様がこの世界に齎した別世界の言語なんじゃが、あちらの世界の言葉を知るものが誰も居ないものだから長年研究をしておるにもかかわらず、殆ど解明できておらんのが実情じゃ。その上魔大陸スランテーレが封印された事によって高位の魔法使いや神官、そして技術者がいなくなってしまってのぉ、幾つかの魔法や魔道具製作の技術が失伝してしまっておる。特に空を飛ぶ為に必要なフライの呪印の刻み方や転移の魔法、それにマジックバッグの制作方法が失伝したのが残念でならん」

 そう、僕にとって色々と引っかかる部分の多い話を最後にしてくれたんだ。
 その中でも特に僕の気を引いたのは、てっきりこの世界に初めからないんだと思ってた空を飛ぶ魔法、フライの存在なんだよね。

「お空をとぶフライのまほう? おじいさん、昔はお空をとべたの?」

「ん? おお、400年以上昔な。その頃は一人前と認められると手の甲にフライの呪印を刻んでもらえて、空を飛ぶ事ができたと言い伝えられておる。じゃが今ではその方法はすでに失伝しておってな、短い間宙を舞う魔法はあるのじゃが空を飛ぶ魔法の開発には至っておらんのじゃよ」

 なんと、ドラゴン&マジック・オンラインの一番最初のクエストでもらえる呪印がこの世界にもあったんだ。
 これはどんなジョブでも町と町の移動が簡単に出来るようにと用意されたもので、プレイヤーがフライの魔法を使うと簡易マップの上空を飛んでいるような状態になるんだ。
 で、一度でも行った事がある村や町ならその場所まで行くと光のカーソルが出て、自由に降りることができるようになってたんだ。

 あれ? でもフライに呪印がいるって事は、この世界の元になったのって原作の方じゃなくてオンラインゲームの方なのかなぁ? でも、神様がゲームをやるなんて思えないし、なによりゲーム機なんて持ってないよね?

 もしかしてゲーム雑誌を読んで最初の方のストーリーだけ知ってたとか? う〜ん、なんかこれが一番ありえそうだなぁ。
 もしゲームをやってたとしたら、魔大陸が封印された後の話も伝わってそうだもん。
 過去にあった話はゲームをやる前の情報にもあったけど、その後の情報はやらないと解らないからこんな世界になってしまったって言うのなら、すごく納得するからね。

 何より呪印に関しての内容はゲーム内で一番最初のムービーが流れて初めて解る事で、事前情報には載ってないんだ。
 だからそれが伝わっていないと言うのならオンライン版も含めてコピーして世界を作っては見たけど、ゲームの中身自体は知らないからゲームの舞台である魔大陸スランテーレ以外にはそう言うギミックを設置できなかったって考えた方がいいのかもしれないね。

 ちなみに、ドラゴン&マジック・オンラインでのフライの呪印は旅立つ村や町でクエストをクリアするとムービーが流れて、その中で水晶玉の様なマジックアイテムの上に手をのせる事によって右手の甲に刻まれるんだ。

「そっかぁ、お空はとべないのかぁ」

 このようにどうやって刻むのかを僕は知ってるけど、そのマジックアイテムがないのだからどうしようもない。
 ちょっと残念だけど、お空を飛ぶのは諦めるしかないみたいだね。

 そう考えてがっくりと項垂れたんだけど、そんな僕の姿を見て、

「ほっほっほ。坊や、そうとは限らんぞ」

 お爺さんはこんな事を言ったんだ。
 だからさ、僕はびっくりして慌てて聞き返したんだ。

「えっ〜! もしかしてお空をとぶ方法、ほかにもあるの?」

「いや、今の所フライ以外で人間が空を飛ぶ方法は見つかってはおらん」

 でも帰って来たのは、そんな言葉。
 なんだぁ、やっぱり無理なんじゃないか! そう思って両手をあげながら抗議をしようとしたんだけど、お爺さんはそんな僕を宥めながらこう言ったんだ。

「そう慌てるでない、人の話は最後まで聞くもんじゃ。先ほども言った通り、昔は空を飛べたのじゃから無理と言う訳ではないと言うのは坊やでも解るじゃろう? 呪印を授かる方法さえ解れば空を飛ぶ事も可能なんじゃ」

「えぇ〜だってさっき、その方法がわかんないって言ってたじゃないか!」

「うむ、確かに今は解っておらん。じゃがのぉ、解らない事が何時までも解らないとは限らないのじゃ」

 ん? それってどう言う事? 400年も解らなかった事が急に解るなんて事、本当にあるのかなぁ?
 それにお爺さんは知らないだろうけど、呪印を授かるには水晶玉のマジックアイテムが必要なんだから方法だけが解っても意味がないんじゃないの?
 そう思って絶対無理だって思ったんだけど、僕のそんな考えを覆すとんでもない事をお爺さんは僕に話してくれたんだ。

「実はな、創造の神ビシュナ様は何百年かに一度、この世界に光臨なさるのじゃよ。坊やは勇者様の話を知らないかのう? 400年前もビシュナ様はヘルトと言う少年の前に光臨なされて使命を与えられたと言われておる」

「ビシュナさま? ってああ、そっか! わかんないことは、ビシュナさまがこうりんしてきたときに聞けばいいのか!」

「うむ、その通りじゃ。そしてビシュナ様が再光臨なさるのは創造の大神殿に降りた神託により、これから10年以内ではないかと言われておるんじゃよ。前回の御光臨では魔王の事もあってか何の知識も与えては下さらなかったが、それまでは毎回新たな知識を与えてくださったと言う話じゃから、もしかするとその知識を我らに与えてくださるかもしれんのじゃよ」

 そっかぁ、この世界を作った神様だし、もし今までは知らなかったとしてもちょっと調べれば解るかもしれないもん。
 そしたら創造の女神様なんだから水晶玉のマジックアイテムなんて簡単に作れちゃうだろうし、そしたら僕らだってお空を飛べるようになるかもしれないね!


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